11. 不平や不満、思うこと、考えること

入院生活も長くなってくると、いろいろと不平不満や違和感のような思いも出てきます。患者のわがままと言ってしまえばそうでしょうが、それがわがままとされる背景には、入院患者はこうするもの、という前提のようなものがあります。より良い医療の実現のためには、その前提自体を変えていく、疑っていく必要があると思い、敢えてこれを記録として残しておきます。

1. インフォームドコンセントについて
既に何度か書いてきましたが、いわゆるインフォームドコンセントというものが、何かあった際に、「説明しておきましたよね」というためのものになっている感じがあります。そうではなくやはり患者本人に現状がどうなっており、どういう治療をし、それにはどんな問題や可能性があり、その時はどうするか、今後の予定はどうなるか、というものをその都度十分に説明し、了解を取るべきものであると考えます。医者側としては必要最低限なことを説明しているつもりなのでしょうが、医者には見えているであろう「その後、その先」が患者には見えていませんし、予想、想定することもできないです。いくつかのケースを想定しての入院スケジュールのようなものを最初の段階で提示してもらうと、患者もそれがある程度見えるのかなと思いますし、心の準備にも繋がります。

2. 家族の付き添いなどについて
手術前後の説明もそうですが、本人よりも家族に詳しい説明がされるという現状があります。手術前後は患者本人は朦朧としているので仕方がないでしょうが、高齢の方などの場合はまた別ですが、ある程度落ち着いたらやはり患者本人への医師からの丁寧な説明が必要と考えます。特にわたしのようにいわゆる「おひとりさま」というライフスタイルを選択し、親、兄弟はいるが、同居していないものの場合はなおさらです。生活様式が多様化している現代においても、未だに「家族と同居している」というのがいろいろな面で前提とされており、また基本的な世話は同居家族がするものという暗黙の約束が強く存在している感は否めません。
そのような「前提」観はもちろん患者側にもあり、看護師の方たちは非常によくしてくれて、いろいろと医療的なこと以外の身の回りの世話もしてくれるのですが、ちょっとしたこと、例えば物を取ってほしいとか、飲み物を買ってきてほしい、などをいちいち看護師の方に頼むのは遠慮があります。
では、そうなると、おひとりさまの場合は、誰に頼めるでしょうか。ここは有料になってももちろん構わないので、午前1時間、午後1時間ぐらいの付き添いサービスのようなものがあればいいと思います。有料のほうがこちらも遠慮しないでいろいろ頼めますし、それに合わせていろいろと計画を立てることもできます。

3. 絶対安静、集中治療室について
入院してみて一番痛感したのは、絶対安静というものが、肉体的にも精神的にも非常に辛いということです。熱がある時は頭もぼんやりしているのでまだいいのですが、熱が下がり頭もはっきりしてくると、何もしない、何もできないということほど苦痛なことはありません。特に集中治療室にいる場合は電気機器は原則として使用不可です。読書は出来ますが、それを想定して本をたくさん持ってくるようなことはまずないでしょう。
理想を言えば、飛行機の座席にあるようなエンターテイメントシステムがベッドについていれば何よりです。ipad的にwifi経由で、メイルの送受信や自分のクラウドデーターに接続出来れば、いろいろと仕事も進められるので、入院中の心配事やストレスも軽減できるでしょう。既に自分のタブレットがあり、それが使い慣れている人には、自分のタブレットをはめ込むことができる電源付きのアームがあれば十分でしょう。集中治療室ではwifiの電波が問題になるのであれば、有線LAN接続という手もあります。
このようなシステムは、技術的には可能でしょうし、もう一部の高級病院では導入されているのかもしれません。今後一般にも広く広がることを期待しています。もちろん絶対安静重視で、医師の判断によりそれを使えないようにすることはできます。しかし、目や耳からもインプット程度はokとなれば、是非患者の精神面のストレス緩和のためにもこのようなシステムが充実しているといいです。病院にいても外とつながっているという意識が大切と考えます。

4. おとなしくしていろ、なにもするな、何も考えるな、という暴言/暴力
多くの方は親切心からそう言うのでしょうし、私も今まで多くの人にそう言って来ましたが、ベッドのずっと横になっている人に「おとなしくしていろ、なにもするな、何も考えるな」と言うのは酷なことでした。それは人間性の否定、その人の人格、アイディンティティを否定、あるいは拒否することです。今の状態で何ができるかを考え、それを支援してやることが健常者にできることだしすべきことだと考えました。